メニュー

上腕CVポート造設がもたらす在宅医療の進化

[2025.03.01]

今回は、当院で実施している上腕部への中心静脈ポート(CVポート)造設について紹介します。


CVポートとは何か

CVポート(Central Venous Port)は、長期的な静脈ルートの確保を目的として皮下に埋め込まれる医療機器であり、抗がん剤、高カロリー輸液、輸血製剤などの反復的な静脈投与に用いられます。ポート本体は皮膚直下に留置され、専用の針を用いてアクセスすることで、確実かつ安定した薬剤投与が可能になります。

従来は鎖骨下静脈や内頸静脈を用いた胸部への埋設が主流でしたが、当院では上腕留置式CVポート造設を第一選択としています。


上腕アプローチの利点

近年の研究報告では、上腕CVポートは以下のような特長を持ち、安全性および実用性の面で高く評価されています:

  • 気胸などの重篤な合併症を回避できる(胸部穿刺を行わないため)

  • 手術時間が短縮される傾向にある(平均31.1分 vs. 37.6分)

  • 感染、閉塞、露出といった術後合併症の発生率に有意差はなく、同等の安全性が示されている

  • 上腕内側または外側にポートを埋設でき、整容性に優れる


当院での造設体制

当院では、外来診療環境下におけるCVポート造設手技を標準化し、安全に提供しています。入院を必要とせず、患者の生活導線を維持したまま処置が行えるのが大きな特徴です。

術後は、訪問看護師・薬剤師との連携を通じて、創部処置、薬剤投与、ポート管理を在宅で継続できる体制を整えており、QOLの維持と医療の持続性を実現しています。


在宅医療におけるCVポートの役割

在宅療養中のがん患者や難病患者、静脈栄養を必要とするケースにおいて、CVポートは在宅医療の質を大きく向上させる手段です。

  • 自宅での静脈投与が可能になることで、医療施設への頻回通院が不要になります。

  • 静脈確保の困難な患者でも、毎回の穿刺に伴う苦痛を避けられます。

  • 医療資源の効率的な配分に寄与し、地域全体のケア体制強化にもつながります。


おわりに

上腕CVポートは前胸部CVポートと同等以上の安全性を有し、術者の経験にかかわらず再現性の高い手技として確立されつつあります。特に、気胸などの重篤な合併症を回避できる点は、在宅療養患者にとって極めて重要です。

今後も、あおやま訪問・救急クリニックは、こうした先進的技術の地域医療への応用を推進し、患者一人ひとりの生活と治療の調和を目指してまいります。

今後とも、ご支援のほどよろしくお願いいたします。


 

外来は下記予約サイトからご予約いただけます。

あおやま訪問・救急クリニック (reserve.ne.jp)


在宅医療のご相談も引き続きお受け致しております。
電話・FAX・メール・LINE(公式アカウント)で随時ご相談いただけます。
分からないことなど、お気軽にお問い合わせください。

▲ ページのトップに戻る

Close

HOME